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職場の仲間あっての自分、家族あっての仕事──
育児休暇を経て見えたこと

2023年4月現在はサイバーセキュリティを担当する部門に所属し、マネージャーとしてサービス・システムの品質向上に取り組んでいる大塚 俊輔。男性育休取得率向上への機運が高まる中、大規模開発プロジェクトのサブリーダーを務めながら育児休暇を取得しました。その経緯や職場の反応、心境の変化などを語ります。

Profile

大塚 俊輔

2009年新卒入社以来、セキュリティカメラを用いたシステムのSIを担当。 2016年から大規模セキュリティシステムの開発プロジェクトに従事し、無事に完遂。 プロジェクト従事中にサイバーセキュリティ確保についての業務に強い関心を持ち、2022年にキャリアチェンジしサイバーセキュリティを担当する部門へ。

研修でSEに興味を持ち、防犯カメラシステムを活用したシステムエンジニアとなる道へ

大学では法学を専攻し、営業職を志望していた大塚。ITエンジニアの道に進んだきっかけは、入社後に参加した研修でSEの仕事に興味を持ったことだと話します。

大塚

「ネットワークについて初めて本格的に学ぶ中で、これはおもしろいなと感じたんです。『IPアドレスって何?』というところからのスタートだったため、日々新しい発見の連続で壁にぶつかってばかりでしたが、独学で勉強したり周りに教えてもらったりしながら、地道に知識とスキルを身につけていきました。

ITの専門知識はありませんでしたが、論理的な思考力が求められる点では法学と同じ。先輩や同期とともに研修に興味を持って取り組む姿勢が評価され、結果としてSE部門に配属されたのだと思います」

入社後、大塚が配属されたのはセキュリティカメラのシステム設計・開発を担当する部署。セキュリティに特化したSEとしてキャリアをスタートさせました。

大塚

「防犯カメラを用いたシステムの設計・開発業務を10年ほど担当しました。パナソニックの商材を活用したシステムですが、お客様の業務要件に基づいてカスタマイズしたソフトウェアの設計や開発のほか、ネットワークやサーバーといったインフラなどの業務も経験しました」

当時、当たり前のように感じている、日々の安心・安全に貢献できていることにやりがいを感じていたと言う大塚。いまも印象に残っている出来事があると言います。

大塚

「警察のお客様を担当していたときのことです。システムの運用場所を変更するのにともない、物理的な作業も多く含まれていたため、部分的な停止を含めてシステムを2週間ほど停止させる計画をお客様にお伝えしたところ、『住民の安全を守るシステムを2週間も止められない』とお叱りを受けてしまって。

物理的な移動や動作確認のテストを行う時間を考えてのことでしたが、あらためて重大な責任を任せていただいていると感じると同時に、自分の仕事が多くの方の役に立っていることを実感できました」

そんな大塚が育児休暇を取得したのは2019年のこと。国際的なイベントで使用される警備システムの開発プロジェクトに参加し、多忙な日々を送るさなかのことでした。当時の想いをこう振り返ります。

大塚

「第二子が誕生したのは、イベント開催が近づく中で、お客様や警察・消防といった治安機関、民間の警備会社の方々が連携して警備運用面の検討や作業を急ピッチで進めていたとき。

第一子が生まれたときに妻が苦労するのを間近で見ていたので、育児休暇を取得して負担を軽減したいと思う反面、このタイミングで仕事を休んで周りに迷惑をかけないかとジレンマを抱えていました

開発グループのサブリーダーとして、社内での要件取りまとめだけでなく顧客との調整役を任されるなど重要な業務を担っていた大塚。育児休暇取得が実現したのは、状況を察した上司からの声かけがあったからだと言います。

大塚

同年の春に、会社から社内外に向けて“男性育休100%宣言”の発信がありました。上司からも『こういう発信があったけど、大塚さんはいつ取得するの?』と話しかけてくれたことを受けて、そこで初めて『実は……』と育児休暇取得を検討していたことを話すことができました。自分からは言い出しにくかったことを、上司から声をかけてもらうことで、安心して話をすることができました」

周囲に支えられながら育児休暇取得へ。育児と家事に専念して得た手ごたえ、見えた課題

男性育休取得向上への機運が高まる中、周囲の反応は好意的なものだったと言う大塚。業務の引き継ぎに関しても、全面的なサポートがあったと話します。

大塚

「上司がお客様のところに同行してくれ、男性育休を推進する会社の取り組みについて説明した上で、『プロジェクトが重要な局面を迎えていますが、大塚にぜひ育児休暇を取得することをご理解いただきたい』と説明してくれました。また、職場の先輩方に育児休暇取得を伝えたときも、『だよね』という感じで肯定的に受け止めていただきました。

お客様や一緒にプロジェクトを進めていた協力会社の方々も同様です。『なんとかしておくから、心配せず家族のサポートをしてほしい。復帰後にいまの10倍働いてくれればいいから(笑)』と冗談まじりに気持ち良く送り出してくださるなど、恵まれた環境のおかげで、何も思い残すことなく育児休暇に入ることができました」

育児休暇中、初日は仕事が気になってついついPCを開いてしまったが、2日目からはそんな余裕さえなくなったと言います。

大塚

「実は、育児を少し甘く見ていたところがあって、『育児の合間にメールを見たりしちゃうんだろうな』と考えていたのですが、間違いだとすぐにわかりました。生後1週間ほどで育児休暇が始まったので、昼も夜もない生活に。大変そうな妻の力に少しでもなろうと、サポートに専念しました。上の子の送り迎えやほかの送り迎えをしている親御さんたちと世間話をしたり、掃除や洗濯、たまに料理をすることもありました」

育児休暇取得の効果について、大塚は自身の経験をこう振り返ります。

大塚

「まだまだ妻を支え切れていないところが多いのですが、少しは役に立てたかなと思っています。また、子どもの送迎時に、それまで知らなかった自分の子どもの話を他のママさんたちから教えてもらえたのも、育児休暇を取ったからこそですね」

一方、育児休暇取得を経て見えた課題もあると言います。

大塚

「育児休暇というと最大2回に分けることはできますが、まとめて休暇を取るしくみになっています。たとえば、数カ月にわたって週1回の休暇を取れるようなしくみがあってもいいのかもしれません。中休みのように妻がひと息つける日があれば、より良い形で支えられるのではないかと思いました」

育児休暇を経て訪れた心境の変化。社会人として、夫として、父としても成長

大塚にとってはじめての育児休暇期間は2週間。職場復帰もスムーズだったと話します。

大塚

「育児休暇が明けて出勤した初日、『おかえり』と温かく迎えてもらいました。デスクの上には休んでいた2週間分の資料が置いてあり、プロジェクトの進捗状況や、その後に自分がやるべきことがわかりやすく整理されていて、無理なく仕事に戻ることができました」

育児休暇を経てさまざまな心境の変化があったと言う大塚。とりわけ、ともに仕事をする仲間の大切さを再認識したといいます。

大塚

「もともと感じていたことですが、“周りあっての自分”という想いがますます強くなりました。猫の手も借りたい忙しさの中、育児休暇を取得できたのは、最初にきっかけをくれた上司や、背中を押してくれた職場の先輩や同僚たちのおかげ。理解のあるお客様やビジネスパートナーにも支えられながら、貴重な時間を過ごすことができました。そういった人たちがいるからこそ、いまこうして自分がいるのだとあらためて思い直しています」

仕事の意義や価値づけも明確になりました。大塚は次のように続けます。

大塚

「育児休暇期間を終えて、自分が何のために働くのかがはっきりしました。第一子が生まれる前は仕事中心の生活でしたが、私がした些細なことを妻が喜んでくれたり、それまで知らなかった子どもの一面を目の当たりにしたり。

そんなふとした出来事の貴さに気づけたことで、自分が仕事をするのは家族との時間をより充実したものにするため、“家族あってこその仕事”との気持ちを新たにしました」

2022年に部署異動し、新たな業務に取り組む大塚。仕事と子育てを両立する上で大切にしていることについて、このように語ります。

大塚

「平日は仕事に集中して、週末は休日を楽しむという具合に、メリハリをつけるように心がけています。私の場合は、仕事と育児との境界を曖昧にしないことがより良く生きるための秘訣。“いい遊び”が“いい仕事”につながると思っています」

先輩社員から受けた心遣いを、より良い形で次の世代へ

現在はマネージャーというポジションで、自社が提供するシステム・サービスのサイバーセキュリティ面の品質向上に努める大塚。パナソニック コネクトの明日を担うビジネスパーソンのひとりとして、将来をこう展望します。

大塚

「われわれが提供するサービスがあるからパナソニックのシステムは安全であり安心だと、胸を張って言えるような仕事をしていきたいと思っています。組織責任者としてメンバーの成長を促し、より幅広くお役立ちできることがいまの目標です」

父として、また夫としてめざす姿についても、こう続けます。

大塚

「子どものころ、父にいろいろなところに連れていってもらったり、遊んでもらったりしたことがいまも良い思い出になっています。将来、自分の子どもが幼少期を振り返って懐かしく思うような記憶をたくさんつくってあげたいですね。もちろん日頃についても、妻だけに負担が偏らないよう、ともに育児に取り組んでいくつもりです」

育児休暇取得に際し、上司をはじめ先輩社員から受けた心遣いを、さらに良い形で次の世代に返していくことをしていきたいと話す大塚。以前の自分のように育児休暇取得を迷う若手社員に対して伝えたいことがあると言います。

大塚

当社には男性育児休暇取得を推進する風土が浸透しているので、自分が想像する以上に周りが好意的に受け止めてくれるはずです。実際、自分がマネージャーという立場になってみて、そういう相談は歓迎ですし、若手には自分と同じような経験をしてほしいと考えています。

仕事への責任感から、育児休暇取得の意志を伝えることを少しためらうこともあるかもしれませんが 、周囲に思い切って相談してみてください。仕事から離れる期間中にうまく業務を進めるための案出しを含め、上司らとコミュニケーションをしっかり取ることで、良い育児休暇期間を過ごすことができると思います」

※ 所属・内容等は取材当時のものです

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