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「次の当たり前を、お客様と一緒につくる」
ニーズに誠実に向き合うフロントSE2017年入社の羽川 幸江は、入社以来、銀行の窓口業務をリモート化するシステムに携わってきました。顧客が持つ真の課題にしっかり寄り添い、ニーズを捉えていく羽川のスタイルは、社内外から多くの信頼を集めています。若手ながら責任ある仕事を任され、大きく成長してきた彼女。そのキャリアを紐解きます。
Profile
2017年新卒入社。メーカー系SIer企業で金融業界のお客様へのソリューション提案・開発を行うフロントSE。現在は、銀行店舗の業務改革・省人化を目的とした、遠隔相談窓口システムの導入プロジェクトをメインに担当。
ビジネスモデルの変革期にある金融業界。銀行の「窓口業務リモート化」を支援
フロントSE(顧客のフロントに立って交渉をするエンジニア)として活躍する羽川。入社以来6年間、銀行の窓口業務をリモート化する「遠隔相談窓口システム」に携わっています。
現在、羽川は遠隔操作窓口システムのコンセプト提案から、設計・開発・導入までを一貫して担当していると言います。
羽川
「『うまく業務を回せるオンラインツールはないですか』というような、ざっくりしたご相談から、今後の店舗構想を実現するにあたり窓口業務を見直したい、オンライン申込に見えるが実際に裏では紙などアナログで対応している業務が多いのでデジタル化したい、オンライン会議ツールを導入してみたものの思うように運用できなかったなど、経営から運用詳細に関するものまで、さまざまな相談をいただきます。
お話をいただいたら、丁寧にお客様が感じている課題やニーズをヒアリングさせていただきながら、お客様と一緒にありたい姿を描きながら具現化していきます」
「現状を変えたいけれど、どうしていいかわからない」というお客様の漠然とした悩みにも羽川は丁寧に耳を傾けます。
羽川
「商材ありきでご提案するとか、お客様の指示を仰いでその通りにシステムをつくるというだけでは、お客様にご満足いただけないこともあります。お客様によって業務や課題感は異なるので同じ商材を導入しても期待した効果が得られなかったり、コンペチタと差別化ができず当社の強みを訴求しきれなかったりするためです。
現状どんな課題があって、どんな姿を理想としているのかをヒアリングした上で、自分なりの意見や提案を加えながら、お客様と一緒にあるべき姿を描くところが難しさでもあり、おもしろいところです。遠隔相談窓口システムで言えば、他行での導入事例もありますので、ユースケースを紹介しながら、将来を見据えた業務の提案まで行っています」
羽川は自身が携わる業務を「お客様と、その先の(お客様の)お客様の当たり前を作り変えるような仕事」だと語ります。
羽川
「お客様、その先の(お客様の)お客様、そして当社がWin-Win-Winの関係になれるようなシステムをめざしています」
20代で任された、プロジェクトリーダーというポジション
羽川が入社したのは、2017年のこと。大学で情報工学を学んだ彼女は、「IT企業」「SEの中でもお客様の要望や意見を直接聞くことができる仕事」を軸に就職活動をしていました。
その中で、職場の雰囲気や人の明るさに惹かれてパナソニック コネクトへの入社を決意。大手企業や駅、商業施設などで使われているシステムを手がけていて、入社後の選択肢が広そうであることも決め手だったと振り返ります。
羽川
「最初に配属されたのが、現在も所属している遠隔相談窓口システムの部署でした。当時はまだ立ち上がったばかりのシステムで、全国に数百店舗展開している銀行様と実証実験を行っている段階でした。
おかげで、入社早々から実際の業務テストやシステム導入、キッティングの段階に関われたのが今思えば良い経験でした。システムの全フローにいち早く触れられましたし、導入業務の全体像も見られたのでとても勉強になりました。結果、2〜3年目には、組み上げや構築、機能説明や社内外のデモ対応もひとりでできるようになっていました」
ひととおりの業務を学んだ羽川は、次のステップへ。プロジェクトリーダー(PL)としてお客様先に伺い、システム導入(デリバリー)の業務を担当することになりました。
羽川
「当時は、右も左もわからない状態でリーダーになったことに、かなりプレッシャーを感じていました。しかし、リーダーを経験したことで内部手続きを含めた業務の全体像が見えてきて、視野が一気に広がりましたね。
さらに、お客様と最前線で話す機会が増え、細かいニーズをしっかり把握できるようにもなりました。できることが格段に広がった経験でした。
リーダーになったばかりのころに、上司が『失敗を恐れなくて良い。自分の考えを持ってやってごらん。みんなでフォローするから』と言ってくれていたことで気が軽くなりました。年齢や性別に関わらず、一人の社会人として仕事を任せてくれる環境が、ありがたかったです」
お客様の「真のニーズ」とは何か──壁を乗り越えて得た手応え
入社3〜4年目には、さらに細かく要件をヒアリングしたり、改善要望を吸い上げたりと、よりお客様に近い立場でお客様ごとにカスタマイズしていくしくみを構築していく役割に。このころ、羽川はなかなか越えられない壁を感じていたと振り返ります。
羽川
「テストに入る前の段階でシステムについてお客様に説明するとき、なかなか手応えを感じられなかったんです。説明をするとお客様は『便利そうだね』とは言ってくださいますが、心を動かしてはくれない。システムの良さがうまく伝わっていない実感がありました」
結果につながらないことに戸惑いを感じながらも、業務に向き合う日々。あるとき、参加した社内のコンサルティング研修で、大きな衝撃を受けたと言います。
羽川
「研修の最後に聞いた言葉にはっとさせられました。自動車普及の立役者であるヘンリー・フォードの言葉です。
それは『もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは“もっと速い馬が欲しい”と答えていただろう』というもの。つまり、交通手段が馬車だった時代、自動車を知らない人々は、速く走る馬を求めるだけで『自動車をつくってくれ』とは言わない。表面的なことにとらわれず、本質的な『速く移動したい』というニーズを見抜くことが重要なんだ、と。
この言葉が、私の考え方を変えました。『システムを説明するときは、お客様の目線で、本当のニーズを見つけることから始めないとダメなんだ。お客様の要望を忠実にシステム化することが“共創”ではないんだ』と気づいたんです」
便利なことは伝えられても、それがどんな風にお客様の課題や業務に直結するのか、そこまでイメージを持っていただけるように踏み込む必要があると感じた羽川は、行動を変えたと言います。
羽川
「お客様の業務を丁寧にヒアリングし、理解した上で、具体的な業務に落とし込んで、システムの活用法を提案するようになりました。すると『業務に入り込んでくれたのが良かった』とお褒めの言葉をいただき、受注につながりました。お客様の顕在的な課題解決だけではなく、他行事例を含めたノウハウや使い方も提案できるようになり、手応えを感じられています」
2023年現在、入社6年目を迎えた羽川。手がける案件の規模も拡大しています。
羽川
「新入社員のときに担当していた案件は、受注額にして100万円前後。それが今は、数千~数億円規模の案件に取り組むようになっています。お客様の業務はもちろん、経営に影響を及ぼすくらい重要度が高い案件なので、緊張感と責任の重さを感じます」
責任の大きさにプレッシャーを感じつつも、羽川は次のように続けます。
羽川
「会社がさまざまなスキルアップの場を用意してくれていることが心強いです。たとえば自分で選べるスキルアップ研修やプロジェクトマネージャースキル強化に特化した研修などがあり、中には長期間受講できるものもあります。個人の成長フェーズに合わせた研修のしくみがあり、会社として社員を育てようとしてくれていると感じますね。
その上で、性別や年齢問わず、PL(プロジェクトリーダー)やPM(プロジェクトマネージャー)を任せてくれる環境なのもありがたいです。
SEというとハードワークを想像する方が多いかもしれませんが、メリハリをつけて働けています。有給休暇を取得するときも上司から『仕事のことは忘れてゆっくり休んできてね』と言ってもらえるので休みもとりやすい環境だと感じています。恵まれた環境だからこそ、期待に応えたい、という想いで仕事に向き合っています」
技術もニーズも、日々進歩する業界。立ち止まらずに成果を追求していく
パナソニック コネクトの魅力は、人にあると羽川は言います。
羽川
「入社を決めたときに印象的だったのは、人事や先輩社員が、単に入社を進めるのではなく、私のやりたいことを聞いた上で親身にアドバイスをくれたことでした。他社の選考の話をしたときにもフラットに話を聞いてくれたんです」
実際に入社してからも、「その温かさは変わらなかった」と羽川は続けます。
羽川
「上司は『これをやりなさい』と指示するのではなく、私のやりたいことを聞いて、案件を任せてくれます。若手をみんなで育てようという風土が、当社にはあるんです。20代からしっかり成長したいという人には、最高の環境だと思います。
逆に、決められた仕事を決められたようにしていきたい方にとっては、当社は向いていないかもしれません。お客様の業務を自分の介在価値を発揮しながらより良くしていきたい、正解がない課題に自分なりの考えでトライしていきたい……そんな熱い想いがある方が、仲間になってくれたらうれしいです」
最後に、自身の今後の展望について、羽川はこう話を締め括ります。
羽川
「たくさんのお客様と関わってきたことで、最近は、どんなシステムが世の中的に需要があるのかがわかるようになってきました。それを知見として社内に共有できるようになったのは、自分の成長を感じるポイントのひとつです。一方で、まだまだスキルが足りていない部分もあるので、インプットとアウトプットを繰り返し、もっと円滑に業務を回せるようにステップアップしたいです。
今後は、金融業界以外のお客様の担当もしてみたいですね。遠隔相談のシステムについて、最近では銀行様だけでなく、自治体様などからもよく問い合わせをいただいています。自治体様の業務にはまだ携わったことがないので、経験を広げていけるチャンスがあればうれしいです」
技術も、お客様のニーズも、進歩し続ける世界。「この職種は停滞することはない。だからこそ常に情報をアップデートしていくことが必要です」と羽川は言います。やるからにはいい仕事をしたいという確固たるプライドを胸に、これからも羽川は全力投球していきます。
※ 所属・内容等は取材当時のものです
羽川
「銀行業界では昨今、大きくふたつの動きがあります。ひとつは、人口減少や低金利などの背景から、人件費などの固定費を削減する動き。もうひとつは、キャッシュレス・ペーパレス加速など技術の発展にともなうデジタル化の動きです。将来的にお客様がめざす姿と現状のギャップを抽出し、それを解決するソリューションの提案・開発をすることが私のミッションです。そのソリューションの1つが「遠隔相談窓口システム」です。
遠隔相談窓口システムを導入いただくことで、銀行の店舗で行っている窓口業務をセンター拠点に集約されたオペレーターがリモートで対応できるようになります。これにより店舗省人化が実現し、人件費などの固定費が削減できます。これまで、複数の銀行様に採用していただきました」